*病院から退院して直後辺りで。
どうやら私は結構彩花が好きなようです(笑
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逃げなきゃ
逃げるってどこに?
逃げなきゃ
どうして逃げるの?
分からない分からない分からない分からない
捕まえた…
「うわぁああっ!!?」
がばりと布団をめくり上げ、雨丸は唐突に目を覚ました。
「な…に…、今の…夢?」
まだ動悸が治まらない体は、汗をかいてかなり気持ち悪い。
前髪をかきあげ、ゆっくりと辺りを見回す。
しかし、そこは時部が寝る前の風景とは微塵も変わらぬ自分の部屋だった。
(このマンション、防音聞いてて良かったーー)
思わず安心と共にそんなどうでもいいことも考える。
「もしさっきの悲鳴聞かれてたら、また班長に何か言われかねないし…」
軽い口調だったはずが、後半には少し声の調子がおかしかった。
(怖かった)
今でもこびりついた恐怖のような言い様のない感情が胸の内にわだかまっている。
ともすれば震えだしてしまいそうな程のそれはどうしようもなく雨丸の精神に揺さぶりをかける。
「大丈夫…大丈夫…」
幼い頃はこうして何度か訳の分からない夢を見ては大丈夫と繰り返すことで自分を落ち着かせていた。
まさかこのような年になってまでするとは思わなかったが。
「なんだか眠れなくなっちゃったな…」
ベッドから降りて、冷たい床に裸足をつけるとすぅっと火照った体を鎮めてくれる。
そのままぺたぺたと窓際まで歩き、高層マンションから見える夜景を見ていた。
この特殊部の寮に来たばかりの頃は、この夜景にも見るたびに感動していたものだけれど、もう慣れてしまった今となっては綺麗だなとは思いはしてもそれ以上の感情は浮かばない。
「………」
頭の中にときどき浮かぶ光景がある。
見たこともないはずなのに、知らない誰かは楽しそうに笑って自分に手を伸ばす。
知らない誰かの名前を呼んで。
何度か夢みたその光景は、鮮明に思い出すことが出来る。
「誰なんだろ…」
それでも誰か分からないその子はとても楽しそうで、そこにいる自分も何だか楽しくなってきて。
本当にこれが現実だったら楽しそうなのになんて馬鹿なことを考えてしまった。
「もう子供じゃないんだけどな…」
我ながら自分の考えたことが非現実的すぎて笑ってしまう。
「明日は…またあの夢がみたいな…」
怖い怖い悪夢なんかよりも。暖かい夢が見たい。
「おやすみなさい、良い夢を」
夢の中の知らない誰かへ
おやすみなさい、君には良い夢が訪れますように
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黒雨になってから、実は少しずつ過去の記憶が夢となって出てきていたらなーと妄想してみた結果…こうなってしまいました(笑